心房細動患者における脳梗塞発症リスクの指標

CHADS₂ score


心不全、左室機能不全の有無
心不全なし
心不全あり
高血圧(治療中も含む)
高血圧なし
高血圧あり
年齢
74歳以下
75歳以上
糖尿病
糖尿病なし
糖尿病あり
脳梗塞、一過性脳虚血発作(TIA)の既往
既往なし
既往あり


CHADS2 score

 

 点


年間脳卒中発症率

 

 
点数 年間脳卒中発症率
0点 1.9%
1点 2.8%
2点 4.0%
3点 5.9%
4点 8.5%
5点 12.5%
6点 18.2%

2020年改訂版不整脈薬物治療ガイドライン より抜粋

非弁膜症性心房細動患者に抗凝固療法を導入する際、CHA2DS2-VASc score ではなく CHADS2 score の使用を『推奨』している。

・CHADS2 score 1点 以上の場合、全ての DOAC(direct oral anticoagulant : 直接経口抗凝固薬) が『推奨』となり、ワルファリンは『考慮可』となる。

・CHADS2 score 0点 の場合、その他のリスク(心筋症の有無、年齢、血管疾患の有無、持続性心房細動、腎機能障害、低体重(≦ 50 kg)、左房径(> 45 mm))を参考とし、DOAC 及び ワルファリン の使用を『考慮可』とする。

・ワルファリンを使用する場合、年齢によらず PT-INR 1.6 ~ 2.6 を目標値とする。

・出血性合併症のリスクの評価に HAS-BLED score の使用を『推奨』している。

・僧帽弁狭窄症や機械弁患者は CHADS2 score の点数によらずワルファリンを『推奨』。PT-INR の目標値は 2.0 ~ 3.0 とする。


国内研究の統合解析における、未抗凝固療法の年間脳梗塞発症率は、0 点から順に 0.5%、0.9%、1.5%、2.7%、 6.1%、3.9%、7.2% と原著論文の発症率よりも明らかに低い数値であった。このことは念頭に置くべきと思われる。

Gage BF et al. Validation of clinical classification schemes for predicting stroke: results from the National Registry of Atrial Fibrillation. JAMA 2001; 285: 2864–2870. PMID:11401607

Lip GY et al. Refining clinical risk stratification for predicting stroke and thromboembolism in atrial fibrillation using a novel risk factor-based approach: the euro heart survey on atrial fibrillation. Chest 2010; 137: 263–272. PMID: 19762550

Ken Okumura et al. Validation of CHA₂DS₂-VASc and HAS-BLED scores in Japanese patients with nonvalvular atrial fibrillation: an analysis of the J-RHYTHM Registry. Circ J;2014;78(7):1593-9. PMID: 24759791